SF好きに捧げる、珠玉の短編集・SFマガジン編集部編『ゼロ年代SF傑作選』

 うっかり見逃す所だったけれど、この本は『自分が買わずに誰が買うのか』という様な珠玉の短編集だった。何せ作家陣と、その掲載作品が凄い。以下収録順にご紹介。

 冲方丁     『マルドゥック・スクランブル“104”』
 新城カズマ  『アンジー・クレーマーにさよならを』
 桜坂洋     『エキストラ・ラウンド』
 元長柾木   『デイドリーム、鳥のように』
 西島大介   『Atmosphere』
 海猫沢めろん 『アリスの心臓』
 長谷敏司   『地には豊穣』
 秋山瑞人   『おれはミサイル』

 まだ読んでいる途中なのだけれど、好きだった長編作品の外伝等が読める楽しみもあり、また逆にこの短編集で知った作家の長編作品に手を出してみる楽しみもあるという、本読みにはたまらない一冊になっている。

 個人的にはまず何といっても冲方丁氏のマルドゥック外伝。『マルドゥック・スクランブル』『マルドゥック・ヴェロシティ』の両シリーズは個人的に大好きだ。というか、冲方作品はほぼ全て読んでいる。
 本作は、タイトルは『スクランブル』ではあるのだけれど、ウフコックとボイルド、ドクター・イースターが協力して戦うという、時系列では『ヴェロシティ』にあたる物語。読めばもう一度マルドゥックシリーズを全て読み返したくなる事請け合いだ。もちろん作品単体としても面白く、ここからシリーズに入ってみるのもいい。

 そして桜坂洋氏の『エキストラ・ラウンド』だ。これは同氏の長編『スラムオンライン』の外伝にあたる。
 自分は何故か『よくわかる現代魔法』シリーズを飛ばして、『スラムオンライン』と『All You Need Is Kill』だけを読んでいるという、桜坂ファンとしては多分異端な存在なのだけれど、特にスラムオンラインは好きで、何度も読み返している。本作は、本編でも重要な役割を果たしたハシモトの視点から語られる後日談だ。

 この作家陣の中で、既に知っているお気に入りの作家が多い人は素直に楽しめるし、逆に知らない作家が多い人は、これから好きになれるかもしれない作家がこれだけいるのかと思って新鮮な感覚で読んでみるのがいい。きっと後悔はしない筈だから。

 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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黒犬

Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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