選ばれなかった僕等の歌

 正月は相変わらずFF13をやったり、文庫本を読んだりして過ごしている。でも、FFをやってて思うのは『ああ、皆選ばれたがってるんだな』という事だ。

 今回のFFでは、主人公達は「ファルシ」と呼ばれる存在から「ルシ」に選ばれ、ルシの使命を果たす為に戦う事を余儀なくされる。要は呪いをかけられている様なもので、一定の期限を過ぎても使命を果たせなかったルシは「シ骸」というモンスターの様なものに変貌させられてしまう。
 まあ昔からある話なんだけれどね。烙印を与えられた特別な人間が使命を果たす為に旅をするというのは。でも昔からあるテーマだという事は、それだけ人気があるテーマであるとも言える。

 要するに皆選ばれたがっている。その印が良いものか悪いものかという違いこそあるかもしれないが、『その他大勢』として日々生きている自分達には、そういう特別なストーリーに対する憧れが常にある。いつか世界や運命が自分を選ぶ日が来るのではないかという夢想は、そんな訳ねーだろという言葉の裏側にいつも張り付いていて、消える事が無い。
 別に世界を救うだとか、そんな大層なストーリーじゃなくていい。でも、消えたくない。誰かのストーリーの為の背景で終わりたくない。

 実は昨日、少し前に紹介した本を読み返していて、その中で紹介されていた曲を何気なく聴いてみたのだけれど、その歌詞を追っていたら、また上に書いた用な事を漠然と思った。
 その曲はthe pillows(ザ・ピロウズ)の『ハイブリッドレインボウ』だ。この曲はBUMP OF CHICKENがカバーした事もあって、本ではピロウズ版とバンプ版を聴き比べてみる事を勧めているが、自分はどちらもいい曲だと思う。
 その中に、こんな歌詞がある。

 『ほとんど沈んでるみたいな無人島 地球儀にのってない名前も無い 昨日は近くまで希望の船が来たけど 僕らを迎えに来たんじゃない』

 「ほら、僕等はいつだって選ばれないんだ」と思う。ふてくされる訳ではないけれど。いつだってそうなんだろう。僕等は選ばれず、置いてけぼりにされる。希望の船はいつだって別の誰かの為のもので、自分達はお呼びじゃない。そんな事わかってるさ、と思う。そういう扱いにはもう慣れたんだ。だからいちいち傷付く必要なんて無い。期待もしていない。
 でも、それでもこの歌はこう続く。


 『昨日まで選ばれなかった僕らでも 明日を待ってる』


 ……その明日がいつかなんて事は、多分誰にもわからない事なんだろう。でも、確かに自分達は明日を待ってる。本当にそんな日が来るなんて信じている訳ではないし、期待もない。けれど、それでも捨てきれない自分を抱えて、自分は凡人として生きている。『太陽に見惚れて少しこげた プリズムをはさんで手を振ったけど』というこの曲の歌詞の様に、ここに自分がいるんだっていう事を訴えかける様にして生きている。

 この曲をカバーしたバンプは奇しくも自らの楽曲『オンリー ロンリー グローリー』の中で『選ばれなかったなら 選びにいけ』と歌った。多分どちらも正しいんだろうと思う。同じなのは、ここに自分がいるんだっていう事だけは忘れるなという事だ。消えるなという事だ。

 自分は上手に歌えない。曲を作る技術も無い。だから彼等のする様には出来ない。でも、ここでこうして文章を書く事は出来るから、これだけは続けようと思える。それは多分歪な虹みたいなもので、遠くの船から見えるかどうかは怪しい。でも、そんな手のひらに収まってしまう様な小さなプリズムみたいなものでも捨てるなとこの曲は言う。それが作る虹を感じろと言う。だから、自分は書く。書こうという気持ちが消えない限りは。 

テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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