『信頼してくれ』という言葉の空虚さ

 現役陸上自衛隊幹部が鳩山総理の発言に対して否定的なコメントをした事が問題になっているという。日本の文民統制下では内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を有する為、命令系統でより下位に位置する自衛隊幹部の口から総理批判が出るという事は大問題なのだそうだ。まあ、そう言われれば確かに問題はあるのだろう。

 ただ、その具体的な発言内容って何なのかと思ったら、日米合同訓練の開会式で『同盟というものは外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなく、ましてや「信頼してくれ」などという言葉だけで維持されるものではない』と訓示した事だという。これが鳩山総理がオバマ大統領に言った『trust me』という発言を引用した上で批判した様に受け取れるという事で、結局自衛隊幹部は文書注意を受けて釈明した。詳しくはニュースサイトを参照して欲しい。

 Yahooニュース(時事通信)『「トラスト・ミー」はだめ? =日米同盟に陸自幹部が発言』
 Yahooニュース(産経新聞)『「信頼」発言で陸自幹部を文書注意 防衛省』

 だが、これって当然の事じゃないのか?

 この程度の発言の何を問題視しているのか理解に苦しむ。信頼してくれと言っただけで相手からの信頼が得られるというのなら苦労はない訳で、信頼関係を維持しようと思うなら、自分が相手から信頼されるに足る存在である事を、その行動によって絶えず証明し続けなければならない。これは軍事的な同盟に限った事ではなく、自分達一般人の社会生活だって同じ事だ。仕事上の関係にしろ、その他の人間関係にしろ、信頼を得る為の努力は常に求められる。

 だから現場指揮官のレベルでこの様な発言をするのは、『だからこそ互いの信頼関係を強固なものとすべく、この訓練に励む様に』との意図なのであって、他意はないものと自分は考える。それをどこの誰が揚げ足取ったのかは知らないが、大袈裟な話だ。現場レベルで相手との信頼関係を築く為には、その為の能力を身に付け、自らの行動で示すしかない。互いが命を預けるに足る存在であるかどうかは言葉では測れないし、行動が伴わない言葉は空虚なものでしかない。

 繰り返しになるが、信頼を求めるなら、「信頼してくれ」と口に出すのなら、自分がそれに値する人間である事を示さなければならない。その覚悟も無しに、軽々しく相手からの信頼を求める様な発言をする事の方が問題だろうと自分は思う。言った言葉に責任を持つという事こそ信頼を得る為の基本だろうしね。少なくとも自分は、言葉だけで信頼を求める様な相手と肩を並べようという気にはなれない。それだけは確かだ。

テーマ : 時事
ジャンル : 政治・経済

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No title

「信頼してくれ」は詐欺師の決めセリフですな。現政権は自民時代よりも発言に行動が伴ってない。一番苦労するのは現場の人間。あまりに報われない。

>ZERO

自分は別に政党批判をする気はないのだけれど、この程度の事が問題になってしまうのかと思うとちょっとどうかなと思う。特にこれを問題視した人のレベルが。

現場レベルではいくら言葉で「信頼してくれ」って言っても無駄で、信頼関係を維持したいなら互いに努力しようぜっていう、ただそれだけの事だろうと思うんだよね。それが何か問題なの?っていう。
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Author:黒犬
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地方の片隅で今日も黙々生息中。

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