秋葉原の中心で政治を叫ぶ

 連休中、東京に行っていたという話は昨日書いた通りなのだけれど、東京での楽しい出来事について書く前に、堅い話から書いてしまおうと思う。早く書かないと記憶も薄れてしまうから。まあ、何があったかと言ってもそうそう大した事でも無いのだけれど、大事な話といえば大事な話で、端的に言うと政治に関する話題だ。

 5月4日火曜日、JR秋葉原駅の電気街口からすぐの場所で、自民党の街頭演説が行われた。近頃秋葉原に出来たガンダムカフェからも近い場所で、カフェに並ぶ人々の長蛇の列をバックに政治の話題が展開されるという、ちょっと異様な光景だった。
 演説をしたのは自由民主党参議院議員の中川雅治氏と、今度の参院選で自民党の公認候補として比例区で立候補するという三橋貴明氏の二人だった。都内在住だった頃はそんな演説に足を止める様な事は無かったのだけれど、地元に帰って来てからはこういった演説を耳にする機会も無くなってしまっていたので、実際に政治の場で活動している政治家や、これから政治の世界に飛び込もうとする人がどんな考えを持っているのか興味があり、聴いてみる事にした。三橋貴明氏の事は全然知らなかったが、初見ではまあ若い人だなという程度の印象だった。

 さて、『秋葉原といえばオタク文化やサブカルチャーの街である』という認識は政治の世界にも浸透しているらしく、三橋氏の演説の内容も特に秋葉原という街を意識した内容となっていた。
 先に演説していた中川氏が政治一般に関する演説内容だったのに対し、三橋氏の方は完全にオタクをターゲットにしつつ、政敵である民主党の政策を批判する内容だった。これを『的確』ととらえるか『あざとい』ととらえるかは主観によると思う。録音や撮影をしていた訳ではないので自分の記憶に頼るけれど、概ね以下の様な内容。

・世界の中心となる国とはどんな国か。それは軍事力が強い国という事ではない。
・世界の中心となる国とは、他国がその国の事を評価し、その国の真似をしようとする様な国である。
・前述の様な意味で、20世紀においては、アメリカが世界の中心的役割を担っていたと言える。皆がアメリカの様になりたいと思い、様々な事を真似ていった。(経済・文化・社会制度等)
・今現在、アニメ・漫画・ゲーム等に代表される日本文化もまた諸外国からの評価を得ており、そうした文化の発信地として日本もまた21世紀の世界の中心となり得る国である。
・例えばYouTube等の動画配信サイトでは、外国人が『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングテーマである『ハレ晴レユカイ』を踊ったりしている動画が投稿されているが、あれは別に日本人が彼等にやってくれと頼んだ訳ではなく、彼等が日本のアニメを見て、日本のアニメ作品の素晴らしさを評価した結果として、自発的に行っている事であり、それだけ日本文化が評価を得ているという事のあらわれである。
・民主党政権は、『人権侵害救済法案』等に代表される様に、言論弾圧、表現の自由の規制という方向に舵を切っているが、これらは世界的に評価されているアニメ・漫画等を含めた日本文化全体に悪影響を与える事が懸念される為、断固反対する。

 自分としては頷ける所もある反面、秋葉原という土地柄を大いに意識した内容が、ちょっと狙い過ぎなのではないかという気もする。オタク的なネタの鮮度としてもちょっと『ハレ晴レユカイ』は古いかもしれない。今だったら「オリコンのデイリーで『けいおん!!』のCDがワンツーとか、この物が売れないご時世に素晴らしいですね。日本経済を牽引しているのは間違いなく皆さんですね」くらい言っても良かったかもしれない。本当にサブカルチャーが好きなのであればね。まあ実際そんな事を言われたらキレるが。馬鹿にしてるのかと。

 で、概ね間違った事も言っていない様に聞こえる反面、自分が不安になってしまうのは、三橋氏が言う様に『世界各国から真似される事が一つの評価である』と仮定した時に、「じゃあ、日本がサブカルチャー以外の部分で世界の中心的地位を占める事が出来る様なものってあるの?」という事だ。
 自分が外国人だったとして、今の日本についてここが素晴らしいとか、ここはパクろうとか、これはリスペクトしようとか、そういうものって意外と見当たらない。伝統文化は別として。
 まあ『国民皆保険』とかはアメリカよりも先に日本が実現した訳だけれど、それにしたって生活が困窮して保険料が支払えない人が出てきてしまっている事や、自己負担の増加といった現状は認めなければならないだろうし、他にも年金制度は大丈夫なのかとか、不安要素の方が多い。

 文化芸術を守る事、言論・表現の自由を守る事は重要なのだけれど、それだけで「じゃあ民主党じゃ駄目だから次の選挙は自民党に入れよう」という気にはちょっとならないと思う。後一押しが足りない。少なくとも自分にはね。「民主党には任せられない」という事と、「自民党に票を入れよう」という事はイコールじゃないから。

 ともあれ、やっぱり東京という場所、特に秋葉原という場所が特異だなと思うのは、こんな堅い話をしている後ろではガンダムカフェに行列が出来ていて、道では客引きのメイドさんがチラシを配っていて、いつ行っても閉店セールをやっている怪しい露店があって、ちょっと路地裏に入れば怪しげなジャンク品を売っている奴もいるという、このごった煮感だ。素晴らしいものは真似されるというのなら、いつか外国にもこんな街が出来るのかもしれない。

テーマ : 雑記
ジャンル : 政治・経済

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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