日常に引っ掻き傷を付けろ・the HIATUS『ANOMALY』

 ブログの放置も板に付いて来た感がある。また仕事しかしていない間に一週間が過ぎてしまった。
 自分の場合、入力が落ちてくると出力もあっという間に落ちる。つまり、仕事にかまけてばかりいて、本を読んだり映画を観たりする時間が持てないと、あっという間にここに書く事も無くなってしまうという事だ。まあそれは仕方ないとしても、何かしら『抵抗』をしていないと、自分の様な会社員の毎日なんて全部会社に押し流されるだけでどんどん過ぎて行ってしまうから注意が必要だ。この一週間が仕事だけで終わってしまった様に。

 では抵抗とは何かというと、自分にとってそれはここにこうして何かを書く事や、本を読む事や、映画を観る事や、音楽を聴く事だったりする。特に、本を読んで物語を咀嚼する体力も無い時は、耳から音楽を流し込む事にしている。自分にとって本を読む事がよく噛んで舌で味わう食事なら、音楽を聴く事は栄養剤や抗生物質の点滴に近い。

“抗生物質を僕に
 今日は誰のこともわからない
 このばかげた考えを思いとどまらせて
 暗いとこで頭の中に忍び込んでくるんだ

 陽がおちて
 僕が一つでいられるような
 奇跡はどこにあるんだろう
 もう嘘をつきたくない”
 『Antibiotic』(対訳)

 そうやって、流される日常に必死に爪を立てながら、引っ掻き傷を付けながら、自分は何とかここにいる。何故って、そんな無駄な抵抗でもしていなければ自分はどんどん流されて行って、最後には自分でも許せない様な人間になってしまうだろうから。その変質を、自分は許容できない。
 この『ANOMALY』というアルバムに収録された曲の中にも、自分がより悪いものに、不実な存在に変わってしまう事についての恐れや苛立ちが感じられる曲がある。その切実さが最近の自分にはよく合った。

“起きてないと
 思い出の中でばらばらになってしまう
 僕は君が求めてる人じゃない
 僕は君が知ってる人じゃない
 君が大丈夫だといいな
 眠れないよ”
 『Insomnia』(対訳)

 こういう時に聴く音楽は本当は何でもいい。でも、出来れば上でも書いた通り、今の自分にとって切実な意味を持つ曲がいい。そして、気が済むまでそれを耳から流し込み、点滴の効果が出るのを待つ。再び自分の出力レベルが戻るまで、一方的に入力をし続ける。そうする事で自分の中から出て来たものを、とりあえずこんな風に、何かに叩き付ける様に書き殴ってみる。当然それらは綺麗な形にはまとまらないだろうけれど、とりあえずのリハビリとしてはそれでいい。

 このアルバムの最後を飾る『西門の昧爽』の様に、きっとそうこうしている間にまた一日が終わり、次の一日が始まるのだろう。自分の都合なんて無視して。そこにある希望は理解しているつもりだ。けれど新しい一日が始まれば、多分また自分は何かに押し流され、それに抵抗しようと爪を立てる様に何かを書き殴る事になる。
 同じ事の繰り返し。それはもう笑える程に。ならば徹底的に哂うしかないだろう。徹底的に。それら全てが無駄だとしても。

 

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映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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