パチンコ業界への恨み言

 ブログの放置がデフォルトになりつつあるのは困ったものなのだけれど、ここのところ会社に拘束される時間が本当に長くて困った。帰宅しても「食事、入浴、寝る」程度の事しか出来ない。先日は遂に帰宅してから私服にすら着替えなかった。入浴して寝るだけだし。
 まあ、そんなこんなでここに書くネタもないのだけれど、余りにも放置が長いのもなーと思って久し振りに雑記などしてみる。

 さて、自分が住んでいるのは地方なのだけれど、都市部に比べて娯楽が無いからなのか何なのか、雪が降るこの時期でも何故かパチンコ屋だけは大盛況という有様だ。皆不況で金が無いとか、生活が苦しいとか言っている筈なのに、平日から、しかも雪が降る中わざわざ出掛けて行く人も多い。
 自分はといえば、パチンコに限らず、競馬、競輪、競艇等の賭け事には手を出さないと決めている人間だったりする。理由は単純明快で、賭け事全般に弱いから。負けるとわかっている事にお金を費やす気にはなれないというだけの、まあシンプルな理由。ちなみに、煙草も吸わない。だって煙草二箱も買ったら、そのお金で文庫本が一冊買える訳で。と、ここまではあくまで個人的信条の話。そもそも他人に同意を求める類の話ではない。

 何故いきなりこんな事を書くかというと、パチンコ屋という業態について是か非かという話をネット上で見かけたからなのだけれど、自分の中でこの業態には恨みを抱いている部分があるので、今回はそれを吐き出してみる事にする。現在この業界で仕事をしている人からすると逆恨みに近いかもしれないが、こんな内容の文章をあえてパチンコ屋のCMが流れまくり、客が入りまくる日曜日に更新するあたりが自分なりの悪意の表現だと思ってもらって構わない。ちなみに、パチンコが『賭博ではない事になっている』事は知っているが、後述の事情によりその前提はあえて無視する。

 言葉を飾っても仕方がない。有り体に言えば、自分はパチンコを含めた賭博によって一つの家庭と一人の父親が壊れる姿を見た。それは近しい間柄にある親戚の家庭だった。一家の父親はある時から、何がきっかけだったのかは定かではないが、家族を養う為の金銭まで賭博に注ぎ込む様になった。彼は家族を省みず、親戚や金融機関に多額の借金を作った。
 自分の家はその一家の母親との繋がりが強く、離婚の話し合いを含めた人間関係の泥沼に介入する羽目になった。中でも、両者を別れさせるという事に割かれた労力は並ではなかった。こちら側の親戚筋は誰もが母親の味方であり、借金を作った父親の肩を持つ者はいなかった。当時学生だった自分も当然その通りの立場を貫いた。当然の事だった。家庭を省みず、自分勝手に借金を作り、しかもその借金が何によるものなのかといえば本人の口からは最後まで詳細な説明は無かった。或いは賭博だけではなく、女性関係もあったのかもしれないが、いずれにせよ弁解の余地はない。

 ただ、今になって自分はその『人間の弱さ』の様なものに対して、悲しみを抱く。借金を作り、家族を失い、父親という立場を剥奪された男に対しての悲しみを。それは同情というものとも違う、複雑な感情だ。

 人間は、何故大切なものを容易く見失うのだろう。

 彼にとって、その家庭は、子供は、大切なものだった筈だ。少なくとも自分が知る範囲では、彼はある時期までは普通の父親だった。それがある時から自分にとっての快楽を優先させる様になり、家族の存在をゴミ箱に投げ込む様にして賭博にのめり込む様になった。

 何故、人間は『大切だ』と思えるものの価値を最後まで守り通す事が出来ないのか。

 大切だった筈のものを、人は容易く捨ててしまえる。それこそ何の覚悟も決断も無しに。その心変わりを、その不実を、自分は悲しいと思う。そしてもし賭博というものにそれを助長させる要素が確かにあるのだとすれば、自分はそれを憎む。
 夏場、パチンコ屋の駐車場で車内に残された子供が熱中症で亡くなる様なニュースを見る度に、それ程までにパチンコが大事か、と自分は思う。しかしそれは自分が賭博というものに手を出した事が無い人間だから言える事なのかもしれない。一度それにはまれば、自分も彼等と同じ様に、自分がそれまで大事だと思っていた筈のものを投げ捨てる様になるのかもしれない。自分の中に存在するかもしれないその弱さを、その不実を、自分は憎み、同時に恐れる。だからそうした危険性を孕む存在に対して、自分は距離を置く。自分の弱さを否定しきれない故に。

 パチンコを含めた賭博に関する記事を読む度に、自分は自分達の前から姿を消したあの男の事を思い出す。今は何をしているのか、どこに住んでいるのかも定かではない、父親という立場すら失った男の事を。もう再会する事は無いだろう。自分も、相手も、そんな事は望んでいない。ただもしも何かの偶然でお互いが出会って、話をする機会があったのなら、昔の事は脇に置いて聞いてみたい事がある。彼が失ったものと、その代わりに得たものについて。今、何を支えに生きているのかという事について。そして、人の弱さについて。その、長い話を。

テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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