震災から半年、被曝から半年

 書こうか書くまいか、散々悩んだけれど書いておく事にする。

 あの震災から半年が過ぎた。「もう半年も過ぎたのか」というのが正直な感想だが、福島県で生活し続ける自分にとって、それは『被曝から半年』というもう一つの意味を持つ。

 『被曝』などと書くと我ながら大袈裟な気もするのだけれど、事実は事実として存在し続ける。「直ちに健康被害に繋がるレベルではない」というのが国や東電、或いは専門家の統一見解の様だが、自宅周辺でさえ0.2マイクロシーベルト毎時という数字が出ている中で暮らし続けて半年が経ったのかと思うと、自分の様な大人はともかく子ども達の事が心配になる。低線量でだらだらと被曝し続けた時に人体にどの様な影響があるか、などという事は正直誰にも分からない事なのではないかとも思うが、この場所で暮らす自分達にはやはり仕事や家といった生活基盤を捨てて自主避難するという事は難しい。本当はそうすべきなのだとしても。

 そんな中、先日『ザ!鉄腕!DASH!!』という番組を見ていた。普段はあまり見ない番組なのだが、番組内企画として『DASH村』というコーナーがあり、TOKIOのメンバーが田舎暮らしを体験する場所として県内が使われている事は福島県民として一応知っていた。そして先日の放送では『ヒマワリの種を植える』という除染方法をテストする為に、出演者が防護服を着て村に入り、線量計で放射線量を測定するというある意味重い内容が伝えられた。
 番組内で伝えられたDASH村の放射線量は自分ですら相当高いなと感じるレベルだったが、更に問題なのは原発事故直後と比較しても大して線量が下がっていないという事だ。おそらく今日測定したとしても同じ様な数値が出るのだろうが、これをどうにかしてまた人が住めるレベルにしようと考えるならば、ヒマワリを植えてみる、といった程度のやり方では無理なのではないかと思う。実験をして、その結果を番組で放送するという試みはそれはそれで意味のある事だと思うけれどね。

 何だろう。地元がこんな事になっている間に世間では総理大臣が交代し、新内閣が発足したかと思えば経済産業大臣は何も仕事をしない内に問題発言で辞任するという有様だ。不謹慎だが、思わず笑ってしまった。


 何なのだろう、この有様は。


 自分達が毎日放射線を浴び続けながら暮らした半年という期間は何だったのか。毎日不安を抱えながら、それでも何とか無理矢理にでも前向きに、震災以前と同じ様に仕事に行き、日常を守ろうとして生きて来たのは、こうして政治の中枢にいる人間に小馬鹿にされる為だったとでも言うのだろうか。何だそれは。

 これまでの半年がそうだった様に、これからの半年もまた瞬く間に過ぎ去るのだろう。それまでに復旧、復興の道筋がある程度見えて来るのかどうかすら自分には分からない。原発問題はどうなるのだろう。自然エネルギーは普及するのだろうか。それとも原子力発電を捨てられずに今まで通りの道を行くのだろうか。放射性廃棄物の中間貯蔵施設は報道通り福島県内に設置されるのだろうか。しかし最終貯蔵施設が無い現状で中間貯蔵施設を作れば、実質そこが最終貯蔵施設という事だろう。そんな言葉遊びは子ども達だっておかしいと気付く筈だが、子ども達に被曝のリスクを負わせるだけでは飽き足らず、大人の欺瞞という奴を押し付ける事で更に汚染しようとでも言うのだろうか、この国の為政者達は。

 理性では、これから他県に放射性廃棄物を持ち込むよりは『既に汚染されてしまった』福島県に貯蔵施設を作って引き受けさせるべきという理屈は分かる。自分がそれを押し付けられる側にさえならなければ。でも現実はそうじゃないし、自分は合理性と机上論だけで生きている訳ではない。

 そんな事を考えながら、半年後の世界を想像してみる。すると何故だろう、想像よりも悪い現実が待ち構えている様な気がしてならない。

テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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