一冊の本から広がる世界を・三上延『ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~』

 前巻の感想はこちらに。

 さて、『ビブリア古書堂の事件手帖』だけれど、前巻も順調に売れている様で何より。本に挟み込まれているメディアワークス文庫のチラシによれば、何でも25万部突破だそうで。自分は「ベストセラー本だから読んでみよう」という買い方はしないので、本の売上部数等は普段あまり気にしない方だけれど、それでも好きな本が売れてくれるのは嬉しい。それは単純に次に繋がるという意味でね。

 登場人物の紹介等については前回の感想を読んで頂くとして、本巻について。本巻でもやはり男性読者としては栞子さんの可愛らしさに目が行ってしまうのだった。この辺り、きっと女性読者の方はまた違った読み方をしているのだろうなとは思う。

 栞子については、本が好きで、本についての話題なら誰とでも淀みなく話をする事が出来るのに、それ以外となると途端に言葉少なになってしまう所とか、異性に対して無防備な所など、これはもうある種の男性読者を狙い撃ちにするかの様なキャラクター設定で、冷静になって読み返せばさすがにちょっとあざとい感じもする。ただそのあざとさに気付きつつも転んでしまうのが男であると断言しよう。うん、男というのは基本的に馬鹿なのだ、多分。異性に幻想を抱き過ぎるという意味において。

 対する五浦大輔の方はといえば、彼もまたなかなか不器用な、そして誠実な男だと思う。同性の目から見ても「いい奴」という印象なのだが、その為に要らぬ苦労を背負い込んでしまいそうなタイプだ。だからこそ無意識に応援してしまうのだが、なんだかんだ言ってもこの二人はなかなかお似合いだと思う。ここまで来るともういっそ「お互い恥ずかしくて手も握れない」様な関係のままずっとやっていればいいよ、と思うのだが、二人を取り巻く物語の方は何やら一波乱ありそうな気配だ。

 さて、登場人物についてはこのくらいにして、物語についてだが、本作もまた前巻同様、実在する本から巧みに物語を展開してみせる。坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)やアントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)等、そこからどんな物語が展開されるのか考えるだけでも楽しいし、実際に語られる物語はその想像を超えて面白いのだから本読みにとってこんなに楽しい事もない。

 例えば自分などは、『時計じかけのオレンジ』については映画で観ただけで、原作を読んだ事は無かったのだけれど、まさか原作小説にこんなエピソードがあろうとは、と目からウロコが落ちまくった。これはぜひとも原作を読まねばなるまいと思った訳だけれど、こんな風に、一つの物語から新たな本への出会いが広がって行く事もまた楽しいものだ。こんな時は本当に本が好きで良かったと思える。

 物語はまだ続いて行く。栞子と大輔、その二人の関係も気になる所だけれど、一体次はどんな本との出会いが待っているのかと思うと、今から楽しみだ。本好きとは貪欲なものである。

 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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地方の片隅で今日も黙々生息中。

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