小説から読むか、ゲームから始めるか・一肇『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』

 

 ……すいません表紙買いしました。

 いや、安倍吉俊氏の絵が好きなんだよね。その理由については前にも書いた事がある。加えて、自分は『黒髪の少女』という奴に弱い。ちょっと気になって自分の本棚を振り返ってみたけれど、これまで読んだ小説や漫画の中で黒髪ロングのヒロインやサブキャラクターが登場する作品率が結構高い事に気付いた。
 ざっと題名を挙げるだけでも、乙一『GOTH』三雲岳斗『少女ノイズ』河野裕『ベイビー、グッドモーニング』『サクラダリセット』来楽零『6-ゼクス-』三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』籐真千歳『スワロウテイル人工少女販売処』西尾維新『少女不十分』高野真之『BLOOD ALONE』相田裕『GUNSLINGER GIRL』等々。正確に調べて行けばもっと増える。忘れちゃいけない冬目景作品とか。

 何故黒髪ロングの女性に惹かれるかというと、これはもう間違いなく男性が女性に対して抱くある種の幻想なんだろうとは思う。実際にロングにしている人に言わせると、あれは髪を洗うのも乾かすのも一苦労だし、何かというと邪魔だし、夏場は風の通りが悪くて暑苦しいし、もう切れるものなら切ってしまいたい、という事になるらしい。まあそうだろうなと思う。最近は街で見かける機会も減った気がするし。それでも男性が黒髪ロングの幻想を捨てられないのは何なのだろうと思わなくもないが、これだけの作品が世に溢れているという事は、黒髪ロングに付随する華奢で清楚なイメージを追い求める男性側の心理というか、業の深さがかなりのものだという事だろう……と、他人事っぽく言ってみる。

 さて、本作『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』にも題名の通り黒髪の少女、美鶴木夜石が登場する訳だが、ホラーテイストの作品に登場するオカルトマニアの少女、しかも黒髪ロングと来て、その上絵が安倍吉俊氏というのはかなり狙っている気がする。狙い打たれている読者層が凄くニッチなんじゃないかという気もするのだけれど、それはまあ置くとして。

 更に本作が特殊なのは、筆者である一肇氏がゲームメーカーであるニトロプラス所属である事もあって、『小説の体験版』という位置付けで本作のビジュアルノベル版が無料配布されているという事だ。
 自分は先に小説を読んでからビジュアルノベル版に取り掛かったのだけれど、無料配布とはいえ本作に収録された3つのエピソードの中の1つ『願いの叶う家』を全てビジュアルノベル化しているので、なかなか長い作品になっている。演出もそれなりに凝ったものになっているし、安倍氏がキャラクターを描くノベルゲーとして考えた場合もなかなかレアなものだと思うので、一肇氏の新作小説として本作が気になっている人、安倍氏のファン、ニトロプラスのゲームを愛好している人はこの機にもれなくダウンロードすると良いと思う。タダだし。ということで、特設サイトは下記。

 『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない ビジュアルノベル版特設サイト』

 ……それにしても、この部屋ってこんなに黒髪ロング作品があったのかと我ながら閉口気味。

 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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