TRPGの真髄・三田誠『RPF レッドドラゴン 1 第一夜 還り人の島』

 

 ……うっわー虚淵氏がスッゲー楽しそうだ。

 というわけで今話題の「TRPGリプレイを超えたRPF(ロールプレイングフィクション)」三田誠『RPF レッドドラゴン 1 第一夜 還り人の島』を。この作品、何せ卓を囲む面子が半端ない事になっているので参加者の名前を挙げただけで悶絶必至。

 一般的なTRPG(テーブルトークRPG)で物語の創造主となり、ゲームの進行役も務めるGM(ゲームマスター)は、本作ではFM(フィクションマスター)と呼ばれる。そのFMには三田誠氏。そしてプレイヤーには虚淵玄、奈須きのこ、紅玉いづき、しまどりる、成田良悟(敬称略)という「どう考えても企画が通った事がおかしい」レベルの布陣で物語が展開される。
 更に本作は、通常のTRPGならゲームのルールの中でキャラクターを作るのに対して『各プレイヤーが創作したキャラクターの為にゲームシステムそのものを一から作る』という気の遠くなるような労力で作られており、この時点でも本気度の高さが窺える。通常どんなTRPGリプレイでもここまでの事はしない。

 ……ていうかもう、こういう普通の説明に意味は無い。自分も昔はTRPGをやっていた事があるから分かるし、TRPGのプレイ経験が無くても、このプレイヤー陣を見た時に大抵の人は察するだろう。この面子で、何事も無く穏便に物語が進行すると思ったら大間違いだという事に。特に虚淵氏が演じるキャラクターが『暗殺者』という時点で酷い、もとい凄い事になるのは目に見えている。正に虚淵無双。

 今更ながら若干説明すると、TRPGにおけるロールプレイというのは、キャラクターデータとプレイヤースキルがマッチした時に最大の効果が生まれる。例えばここに暗殺者としての高い能力を持ったキャラクターがいたとする。当然、このキャラクターは隠密や諜報活動に役立つ数々の能力を持っている訳だけれど、それを演じるプレイヤーがキャラクターの能力を活かせなければ意味は無い。逆に、キャラクターとして何らかの行動をしたいけれど、その行動を成功させるには能力が足りない時もある。そんな時にゲームのルールやキャラクターデータに縛られないプレイヤースキル(例えば話術や機転等)があれば、キャラクターの能力不足を補う事が出来るかもしれない。そして当然、キャラクターとプレイヤーがマッチすれば鬼に金棒状態となる。つまり何が言いたいかと言えば、

 『虚淵玄に暗殺者などやらせてはならない』

 という事に他ならないのだった。正に水を得た魚。その生き生きぶりが逆に怖い。そして黒い。

 また、本作はネット上でも無料公開されている。こちらは物語の進行によって切り替わるBGMまで付くという恐ろしい仕様で、雰囲気たっぷり。基本、こちらを読めば本に収録されている内容は網羅されているのだけれど、個人的に「これだけの『祭り』に金を払わないなどという事は許されまい」と思うのと、やっぱり物語は紙で読みたいアナログ人間なので、自分は本で買った。特設サイトは下記。

 『RPF レッドドラゴン 特設サイト』

 しかし前回の『フェノメノ』といい、飛ばすなー星海社。

 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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