それはさながらロケットの様に・黒史郎『未完少女ラヴクラフト2』

 

 来てしまった……まさかの2巻が。というわけで1巻目の感想はこちらに。

 クトゥルフ神話の創始者であるラヴクラフト御大を少女化してヒロインに据えた冒険小説という、ある意味怪書であった前作。しかしそのストーリー自体は、主人公達が異界に旅立った後に帰還するという王道だった。喩えるならば飛行機の様に、一度離陸して空高く飛び立ったものの、最後は無事着陸した様なものだ。まあ離陸して向かった方角が『ラヴクラフト少女化』という若干明後日の方向だった為に怪書扱いもされた訳だけれど、冒険小説としてちゃんと着陸して物語をまとめてくれた事で読者としては安心感があった。だが、今回は違う。前作が飛行機だとすれば、今作はロケットだ。宇宙に飛び出した物語が今後無事地上に帰還するのか、衛星となって周回軌道に乗るのか、はたまた外宇宙を目指してどこまでも突き進んで行くのか、今はまだ分からない。少なくとも読者の側は。いや、本当にどうするんだろうこれ。(褒め言葉)

 前作に引き続き、今作でも実在の人物がキャラクター化されているのだけれど、これがまた「よりによってその人を持って来たか」という様な人選で、前作からまた一段と関係者のSAN値が下がっているのではと疑いたくなる。いいぞもっとやれ、とまでは言わないけれど、読者の身で出来る事と言えば、この物語がどこへ行こうとしているのか震えて待つ事のみという気がする。言い換えれば「もうどうにでもして」

 しかし、前回感想を書いた桜井光氏の『殺戮のマトリクスエッジ』といい、最近第1回が行われたという『クトゥルフ神話検定』といい、何だろう近年のクトゥルフ神話熱の高まりは。ライトノベル業界的には逢空万太氏の『這いよれ! ニャル子さん』辺りからなのかもしれないけれど、思えばそれ以前に『斬魔大聖デモンベイン』等もあった訳で、ある意味『中二病系文化』とも言えるオタクカルチャーとクトゥルフ神話の親和性は高いなと改めて実感した。

  

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