『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年上期』に参加してみる

 さて、今回も『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年上期』に参加します。個人的に、自分の雑食気味な読書傾向からすると、そのものズバリのライトノベルらしい作品を選出するよりも「ラ……ライトノベ……ル……?」位の微妙な立ち位置の作品を推した方が面白かろうという事で、まあ毎度の事だけれど独断と偏見で行こうかと。

 上遠野浩平『しずるさんと気弱な物怪たち』
 【14上期ラノベ投票/9784061389670】

 

 この企画への投票を毎回上遠野浩平作品から始めるのが自分の中で既に様式美と化しているけれど気にしない。
 今期の上遠野作品と言えば、『螺旋のエンペロイダー Spin2.』もあった訳だけれど、しずるさんシリーズの新作が読めたという事について感謝の意を表する意味で星海社に軍配を上げる事にした。そして星海社と上遠野作品といえば、同じく星海社文庫から『騎士は恋情の血を流す』も刊行予定である事に今気付いた。元々は富士見書房から単行本で刊行された作品だけれど、星海社文庫で再刊行される事になったのか。
 思えば徳間デュアル文庫の『ナイトウォッチ三部作』、富士見ミステリー文庫の『しずるさんシリーズ』等、星海社文庫から再刊行される上遠野作品は多く、一ファンとしてはとても嬉しい。
 本作の感想はこちらに。


 江波光則『樹木葬 ―死者の代弁者―』
 【14上期ラノベ投票/9784094514667】

 

 2013年下期の投票をした時には「2014年上期には『樹木葬』が入るだろう」と書いていたのだけれど、江波作品は『鳥葬-まだ人間じゃない-』 から始まる『葬シリーズ』と『ストーンコールド』から始まる『魔術師スカンクシリーズ』がほぼ平行していた事もあって、この企画で葬シリーズに票を入れるのは実は初めて。
 投票に参加する際の個人的なルールとして『一作家一作品』という縛りを設けているのでこういう結果になった訳だけれど、葬シリーズは読み応えがある作品が揃っているのでぜひ手に取って頂きたいところ。
 本作の感想はこちらに。


 陸凡鳥『隣人は真夜中にピアノを弾く 2』
 【14上期ラノベ投票/9784094514698】

 

 挫折者の物語。夢が終わっても、希望が潰えても、人は生きて行かなければならない。そんな事はまあ、社会人にとっては今更語るまでもない事だったりするのだけれど、若者が主な読者層であろうライトノベルの中に本作の様な物語がある事には一定の価値があると思う。躓き倒れようと、夢が消え失せようと続く日々を生きて行く事。生きて行かなければならない事。その事に思いを馳せる時、数多くの成功者の物語の裏側にあるであろう挫折者の物語が、若者の手が届く範囲にあってもいい。そう思う。
 本作の感想はこちらに。


 入間人間 『ふわふわさんがふる』
 【14上期ラノベ投票/9784048665063】

 

 入間人間氏の作品は毎回独特の雰囲気を醸し出しているので、読者によって合う合わないは確実にあると思う。今期は『エウロパの底から』も読んだのだけれど、他者に推薦する前提でどちらを選ぶかという事なら、個人的にはこちら。
 本作の感想はこちらに。


 河野裕『つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション』
 【14上期ラノベ投票/9784041012659】

 

 個別の感想はここでは書いていなかったけれど、『つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない』から始まったシリーズも既に3冊目。個別の事件そのものは各巻で完結するのだけれど、シリーズを通しての謎もあり、その全体像が次第に明らかになって行く過程も楽しむ事が出来る。
 河野氏といえば新レーベルの『新潮文庫nex』から8月刊行予定の『いなくなれ、群青』も今からとても楽しみにしている。


 深見真『キャノン・フィストはひとりぼっち 1』
 【14上期ラノベ投票/9784865290110】

 

 たまに、ライトノベルらしさとは何だろうと思う事があるのだけれど、ライトノベルを若者向けのエンタメ小説ととらえるならば、間違いなく本作はド直球のライトノベルだと思う。勧善懲悪のストーリーはスッキリとした読後感が得られるので好きだ。世の中の理不尽にストレスを感じる日々に、深見作品はよく効く。
 本作の感想はこちらに。


 時雨沢恵一『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。Ⅰ ―Time to Play― (上)』
 【14上期ラノベ投票/9784048662734】

 

 これ、略称は『首絞め』でいいんでしょうか。(多分間違い)
 時雨沢恵一氏の作品はどれも好きなのだけれど、いつもは「まあ今更自分が推さなくても既に高い評価を得ているからいいや」という理由で、この企画への投票はして来なかった。 でもふと「ライトノベルらしさ」みたいな事を考えた時に、その「本文だけではない、イラストも含めたトータルパッケージとしての完成度の高さ」は、やはり時雨沢作品ならではだなと思い直し、今回は投票してみる事に。
 上で深見真氏の『キャノン・フィストはひとりぼっち』について「ド直球のライトノベル」と書いたけれど、それは作品の内容について考えた時のもの。ライトノベルを語る上では、やはりもう一つの特色であるイラストや挿絵の存在を忘れてはならない。
 誤解を恐れずに言えば、時雨沢作品の完成度の高さは黒星紅白氏が手掛けるイラストとのベストマッチによって生み出されていると思う。近年はライトノベル作家が一般文芸の世界に越境して行く事も増え、また一般文芸の方でもキャラクター性を前面に出した作品が出版される様になり、ライトノベルと一般文芸の垣根は低くなってきた。その中でライトノベルの特色であり、武器でもあるイラストや挿絵を最も有効活用しているのは恐らく時雨沢作品なのではないかと思う。それが特に顕著なのは『キノの旅』なのだろうけれど、本作もそれは変わらない。そしてこれも重要なポイントだが、イラストと本文とのバランスが取れている。「イラストで売っている」訳でもなければ「イラストが添え物」でもない。それはライトノベルとして読んだ時に一番気持ちが良いバランスだと思う。
 まあこの無駄に長い文章を要約すると『似鳥かわいいですよね』という事になるわけだが。
 本作の感想はこちらに。


 らきるち『絶深海のソラリス』
 【14上期ラノベ投票/9784040663913】

 

 ライトノベル界の垂直落下式ブレーンバスター。(勝手に命名)
 B級ホラー・モンスターパニック映画のテイストをふんだんに盛り込み、前半の学園モノパートで魅力的に描いた登場人物達(主に女性)を後半戦で容赦無く血祭りに上げて行く作者の手腕は見事。次回作でもこの路線を貫くのか今から期待大。
 本作の感想はこちらに。


 汀こるもの『ただし少女はレベル99』
 【14上期ラノベ投票/9784062990097】

 

 妖怪ものの短編連作。著者コメントにある様な『綾波系無感情美少女が超絶美形妖怪ハーレムにチヤホヤチヤホヤチヤホヤされる話』はのっけからどこかに行ってしまっているけれど問題なし。むしろそこから乖離して行く物語の着地点が面白い。
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 野島一人『メタルギアソリッド ピースウォーカー』
 【14上期ラノベ投票/9784041012901】

 

 個人的に、ゲームのノベライズにあたる本作に票を入れるべきかどうか、そもそも本作をライトノベルとして扱うか否か、結構悩んだ。あくまでもノベライズは原作があってこそのものだし、そこから大きく逸脱した物語を書く事が出来ない以上、著者は原作から受ける制約の下で執筆する事になる。かつてのシェアード・ワールド・ノベルズの様に、共有された世界観の中で作者が自由に登場人物を生み出し、独自の物語を展開出来るのでもなく、あくまでも原作の再現を求められるノベライズをどう評価するかという事は難しい問題だ。
 今期は長谷敏司氏の『メタルギアソリッド スネークイーター』も刊行されたけれど、本作が処女作である野島一人氏(まあ正体が謎に包まれているのでこれが本当に処女作なのかどうか疑問に思っている方もいるだろうけれど)と、『My Humanity』等、既に自分の作品を数多く世に出している長谷氏の『スネークイーター』を読み比べると、やはり後者の方がより原作からの制約を感じる。もっとも野島氏にしてもオリジナル作品という比較対象が無いだけで、原作の制約下で執筆している事に変わりないだろうけれど。
 今回どちらを選ぶか悩んだ結果、新人作家(一応)である野島氏を推す事にした。
 本作の感想はこちらに。


 という訳で、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年上期』への投票用エントリでした。
 今期はあまりライトノベルを読まなかったので、下期は新人作家の本等も手を出して行こうかなと思う。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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