『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年下期』に参加してみる。


 はい、今回はかなり滑り込みでの参加です。メインPCが壊れて難儀していましたが、今日ようやく新しい電源を買って来て交換。これでもう大丈夫だと思いたい。
 というわけで、今回も『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年下期』に参加します。締切まで時間がないのでちょっと駆け足ですが、お付き合い頂ければ。

 上遠野浩平『ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック』
 【14下期ラノベ投票/9784048690478】

 

 上遠野浩平氏は自分のライトノベル読みの原点に近い所にいる。自分の読書歴で言うと、古橋秀之氏の『ブラックロッド』でこの世界に入り、『ブギーポップは笑わない』から意識して電撃文庫を読み始めた記憶がある。だからという訳ではないけれど、上遠野氏の作品は自分にとって常に特別なものとしてある。
 本作の感想はこちらに。

 紅玉いづき『あやかし飴屋の神隠し』
 【14下期ラノベ投票/9784048668286】

 

 昨年は『妖怪ウォッチ』の大ヒットがあり、紅白歌合戦にも妖怪ウォッチのキャラクターが登場していた様だ。自分の周囲でも、普段ゲームをやらない人や、アニメを見ない人にまで『ジバニャン』や『ようかい体操第一』といったキーワードは浸透していて、大ヒットというのはこういう事を言うのかな、と思ったものだ。ただ、妖怪ウォッチに登場する妖怪達はどこかポケモン的なキャラクターと化していて、古くから言い伝えられている妖怪が持っているおどろおどろしさや不思議さ、怖さといったものとは無縁の存在になっている様に思う。
 妖怪を題材にした作品も数多く出た年ではあったけれど、その中で自分は本作を推したい。祭りが持つ非日常感や、飴細工とそれを生み出す職人の技が持つ繊細さに、妖怪という不思議さや怖さを持った存在が加わる事によって独特の世界観を醸し出している作品だと思うから。
 本作の感想はこちらに。


 藍沢季『名前のない星の物語』
 【14下期ラノベ投票/9784048668828】

 

 こういう作品が好きだ。「ライトノベルとはどんな作品の事を指すか」を厳密に定義する事は難しいし、その基準は人それぞれだろうと思うが、自分がライトノベルに求めているものが本作の中には確かに存在している。それを言葉で説明する事は難しいのだけれど、ライトノベルというジャンルがメインターゲットにしているであろう若い読者にこそ手に取ってもらいたい作品だと思う。
 本作の感想はこちらに。


 河野裕『いなくなれ、群青』
 【14下期ラノベ投票/9784101800042】

 

 河野裕氏の作品が好きだ。何だかさっきから「好きだ」を連呼している気がするが、この投票企画からして「好きなライトノベルを投票しよう!!」なので気にしない。ついでに言うと、「新潮文庫nexはライトノベルではありません」というアナウンスもあった気がするけれど、それも気にしない。隙あらば自分の好きな作品を紹介する為にねじ込む事をためらわないのが本読みの習性である。
 河野氏の小説はどの作品も透明感があると思う。登場人物達の純粋さがそう思わせるのかもしれないが、それ以前に作者本人の小説に対する姿勢が滲み出ているからだと言っても言い過ぎではない様に思う。
 本作の感想はこちらに。


 竹宮ゆゆこ『知らない映画のサントラを聴く』
 【14下期ラノベ投票/9784101800028】

 

 新潮文庫nexから2冊目のノミネート。個人的に初竹宮ゆゆこ作品となったのだけれど、やはり『便所サンダル女子、舐めんな。』のインパクトは相当なものがあった。いいよね『便所サンダル女子』って。(まだ言うか)
 全編通して疾走感に溢れ、その速度を維持したまま最後まで走り切る見事さ。読後感が非常に良かったと思う。
 本作の感想はこちらに。


 西尾維新『掟上今日子の備忘録』
 【14下期ラノベ投票/9784062192026】

 

 何だか三上延氏の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズですら実写ドラマ化されてしまった様な昨今の流れを見るにつけ、本作もいずれどこかが手を出して来そうで怖い。
 自分の母は推理モノのドラマが好きで、一週間にやっている推理モノを月曜日から総なめにして行く勢いなのだけれど、推理モノの良い所は、「小難しい設定やあらすじを覚えなくても良い所」なのだそうだ。事件があり、犯人がいて、それを追う刑事や探偵がいるという基本設定さえ分かればどんなものでも楽しめるという。もっとも、『相棒』の再放送を見ては「この話、絶対前に観たと思うんだけど、どんな話で誰が犯人だったか忘れちゃったな」とか言っているので、忘却探偵ならぬ忘却視聴者と言えなくもない。本読みとしては、一度観た話をそこまで綺麗さっぱり忘れられるというのは羨ましくもある。初めてその作品を読んだ時の衝撃を何度でも味わえるという事だから。
 本作の感想はこちらに。


 枯野瑛『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』
 【14下期ラノベ投票/9784041022696】

 

 世界を救えなかった男が、終わってしまった世界の中で『妖精兵』と呼ばれる少女達と出会う事から始まる物語。その先に救いはあるのか。
 個人的に、もっとディストピア感というか絶望感を出してもらっても良いかなと思える甘めの味付けなのだけれど、それもまあ、嫌いではない。
 この「戦えない男が戦う少女達を見守らねばならない歯痒さ」って最近どこかであったよな、と思ったら、多分『艦これ』の提督なんじゃないかという事に今更気付いた。
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 入間人間『虹色エイリアン』
 【14下期ラノベ投票/9784048690317】

 

 『たったひとつの冴えたやりかた』には届かない、冴えない自分達の為の物語。
 こういう物語に、自分は深く感情移入する。成功者の物語よりも、上手く生きられない、不器用な人間の物語の方が、自分の心に寄り添ってくれる気がするから。
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 三秋縋『いたいのいたいの、とんでゆけ』
 【14下期ラノベ投票/9784048668569】

 

 『醜いあひるを醜いあひるのままで幸福にしてみせろ』
 入間人間氏の『虹色エイリアン』に続いて、こちらも器用に生きる事が出来ない人間を描く三秋縋氏の作品を推す。「醜いあひるを醜いあひるのままで幸福にしてみせろ」という言葉は、言葉というよりも既に叫びに近いものとして読者の心に刺さって来るのだが、それを受けて自分達は何を思うのだろうか。
 本作の感想はこちらに。


 浅井ラボ『されど罪人は竜と踊る(14) 果てしなき夜ぞ来たりて』
 【14下期ラノベ投票/9784094515107】

 

 個別の感想は書けていなかったのだけれど、一応読み終えてはいた。今回は短篇集だけれど、「ライトノベルというジャンルの中で、現実の時事問題にも言及して行く」スタイルは相変わらず見事で、収録作の『嵐の予兆』では人種差別と歪んだナショナリズム、それらに安易に迎合して行く者へ厳しい視線が向けられている。
 『豊かな社会の成員でありながら疎外された人々が、他者への憎悪と侮辱で自尊心を得ようとする。豊かな社会を目指してやって来た人々が、自らを受け入れない社会へと憎悪と反感を抱く』という作中の一文は、現実世界での移民問題や人種差別、日本で言えばヘイトスピーチ等に見られる歪んだナショナリズムによって醸成されて行く社会問題について警鐘を鳴らすものだ。
 ライトノベルの主な読者層である若者がこれらの問題について考えるきっかけとして、本作の様な物語があってもいい。自分はそう思っている。


 これが今回投票する10作品。昨年刊行された作品でも、まだ読めていないものもあるので、今現在自分が読んだ範囲での投票という事でご了承頂きたい。そして最後に、番外というか選外として1作品付け加えたい。

 冲方丁『テスタメントシュピーゲル 2』

 

 昨年8月から『Kindle 連載』という特殊な形態で配信されている本作。現在は11回まで配信されているのだけれど、紙の本ではないので今回の投票企画に必要なISBNコードが存在していない。現在連載中の物語であるし、連載終了までは書籍として刊行される事も無いだろう。よって今回は選外としての紹介とした。
 冲方丁氏の小説は総じて好きなのだけれど、その中でも氏が書くライトノベルは更に好きだと思う。

 という訳で、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年下期』への投票用エントリでした。何とか滑り込みセーフ、かな? 時間切れだったら申し訳ない。
 ここに挙げた以外にも面白い作品は数多くあって、「自分が今更推さなくても他の人が推してくれるだろう」と天邪鬼な事を考えて選ばなかった作品や、単純に自分が読むのが追い付かなくて取り上げられなかった作品もあると思う。その点はご容赦を。

 という所で、他の方がどんな作品を選んでいるのか楽しみにしつつ、今日はこの辺で。

 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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新年明けましておめでとうございます。
本年度も宜しければよろしくお願いいたします。
前回から3ヶ月以上の間が空いてしまい、大変申し訳ない。
黒犬さんのブログにコメントしたいと願いつつも職場内の繁忙期の勢いが衰えることを知らず、
プロジェクトの完結を機にようやく束の間の休息を得られた次第でございます。

…と、ブラックな職場事情はこれぐらいにして、忙しくても日記は楽しく読ませていただいておりました。
特に三秋縋氏の『いたいのいたいの、とんでゆけ』は胸に響くというよりは突き刺さってくるような作品でした。今を前向きに、輝いて生きている人間にとっては理解し難いのかもしれませんが、誰もが血の滲むような研鑽を超えて白鳥になれるわけではありません。
競争に打ち勝つことができなかった者、途中で諦めてしまった者、そもそも研鑽を重ねようとしなかった者たちが、『失敗』という名の屍の山を築き上げています。
じゃあ白鳥になれなかったあひる達は幸せになれないままで生涯を閉じていいのかというと、それは違うんじゃないかなと思うんです。
悲観主義者でも、人生何も楽しくなくても、幸せを願うなら、手を伸ばしてほしいと思います。
自身が満たされたいと願うのは、きっと自分が誰かの温もりを知ってしまったから。
人の温かさを得られないまま果ててしまう人生はきっと、悲しいから。

さて、長くなっちゃったついでにぼくも好きなライトノベルをここに投下していこうかなと。
※河野裕氏、ここのブログを読んでファンになりました!

・三秋縋『いたいのいたいの、とんでゆけ』
・御堂彰彦『送り屋 (2) ―死者を送る優しく不器用な人たち―』
・杉井光『神様のメモ帳 9』
・藍沢季『名前のない星の物語』
・支援BIS『辺境の老騎士』
・桜井光『灰燼のカルシェール What a beautiful sanctuary』
・河野裕『いなくなれ、群青』
・芝村裕吏『遙か凍土のカナン4 未だ見ぬ楽土』
・三枝 零一『ウィザーズ・ブレイン (9) 破滅の星 (上)』
・犬村小六『とある飛空士への誓約 6』

>タウロニオさん

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

さて、この『好きなライトノベルを投票しよう!!』という企画ですが、ここ数年毎回お邪魔しています。お薦めのライトノベルに投票する企画というと、『このライトノベルがすごい!』や『ライトノベルツイッター杯』等、様々なものがありますが、自分の場合、「好きな作品が上位に入るかどうか」という楽しみ方をするよりも、「他の人はどんな作品を読んでいるのだろう」という興味の方が大きいです。

『好きなライトノベルを投票しよう!!』の場合、常日頃ホームページやブログ等で本の感想を書いている方が参加者になるので、リンク先を辿って他の方が書いた様々な感想を読む機会もあり、それもまた興味深いですね。

そんな事もあって、自分は「なるべく沢山の作品がノミネートした方が面白い」という独断と偏見により、敢えて他の方々が推している作品とは別の作品に投票したり、メジャーな作品を避けたりしている天邪鬼な一面もあるのですが、楽しみ方は人それぞれという事でご容赦頂ければ、という感じです。同様に、作品の好みも人それぞれですし、年齢によっても好みの作品というのは変わってくる様に思います。今の自分は割と、ライトノベルというジャンルの中では地味な作品が好みですが、それこそライトノベルがメインターゲットに据えているであろう若い読者が今どんなものを好んで読んでいるのか、ちょっと興味があります。

実は今ちょっと積み本が増えておりまして、(実際には「ちょっと」というレベルではない気がするけれど)まずはそれらに手を付けて行こうと思っているのですが、一段落したらこうした企画で話題になった本や、タウロニオさんからお薦め頂いた本の中で気になるものも読んで行ければと思いますね。(部屋の一角に積み上がった本の山から目を逸らしつつ)

というわけで、今年もまた、気が向いたらお付き合い下さいませ。それでは。
プロフィール

黒犬

Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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