『好きなライトノベルを投票しよう!! 2015年下期』に参加してみる。

 新年あけましておめでとうございます。といっても、何も特別な事をする訳ではないですが。今年もお付き合い頂ける方はゆるゆるとお付き合い頂ければ幸いです。

 さて、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2015年下期』に参加します。
 この企画に参加させて頂く様になってからは一応皆勤なのですが、自分で書いている感想だけだと節目というものがなくて、半年、1年を振り返るという事をなかなかしないので、自分自身、まとめを書いていて思い出す事や発見する事が多くて楽しかったりしますね。

 毎度毎度の事ですが、今回も『一般的なライトノベルの読者層からは離れているであろう微妙な立ち位置からライトノベルかどうか怪しい作品も含めてお勧め作品をねじ込んで行くスタイル』でまとめてみました。いや正直、代表的なライトノベルレーベルから出版された作品だけで半期10作品を選出できる程の読書量は自分には無いので。

 他の参加者の方々の感想ページ等を読んでいると、逆に「半期10作品に絞り込むのが毎回大変です」という様なコメントを見たりするので、皆かなりの数読んでいるんだなと感心する訳ですが、まあ自分は自分なりのペースでまったりやって行こうと思っております。


 上遠野浩平『螺旋のエンペロイダー Spin3.』
 【15下期ラノベ投票/9784048655903】

 

 上遠野作品も数が増えて来て、しかも各作品がシリーズの壁を越えてリンクしている為に、自分の様に『ブギーポップは笑わない』から延々と読み続けている読者以外には正直お勧めし難いのが難点なのだけれど、それでも毎回この企画には新作を入れている。これはもう単純に自分が好きなので。

 仮に、これまで上遠野作品を一切読んだ事がない人に手渡すとしたらどの作品かを考えてみると、『ブギーポップは笑わない』以外で考えるなら『ぼくらは虚空に夜を視る』だろうなと。本当は、今は亡き徳間デュアル文庫版の装丁が好きなのだけれど、それに拘らないなら、星海社文庫から再刊行されたので手に入り易いのも良い。

 昨年は別作品の感想へのコメントだったけれど、上遠野作品読みの方から書き込みを貰ったりして、それが地味に嬉しかった記憶がある。読書体験というのは個人のものであって、共有するものではないと思うのだけれど、同じ作家が好きな人がいると、やはり嬉しい事に違いはない。今年は既に『無傷姫事件』『彼方に竜がいるならば』の2冊が講談社ノベルスから刊行予定で、それもまた待ち遠しい。
 本作の感想はこちらに。


 早川書房編集部 編『伊藤計劃トリビュート』
 【15下期ラノベ投票/9784150312015】

 

 投票コード一覧の中に本著の名前を見付けて「あ、これ今回の投票に入れていいんだ」と歓喜したのは自分だけだと思う。本作がライトノベルかと言われると早川書房の担当者の方は絶対に首を横に振るだろうけれど、主催者が許しているのだから良いのです……というお墨付きを得て、積極的に自分の好きな作品をねじ込んでみる。

 とまあ冗談はさておき、実際に今の日本SF界を牽引しているのは、ライトノベルでデビューし、本著にも作品が収録されている長谷敏司氏の様な、実力と勢いのある作家なのではなかろうかと思う。

 『伊藤計劃トリビュート』と故人の名前を冠した短編集となってはいるものの、もうその名前を殊更引き合いに出さずとも、この短編集に名を連ねている作家陣を始めとして、意欲的な作品を発表している作家が数多くいるのだから、今年はそうした作家達が更に日本SF界を盛り上げてくれるものと思う。

 本作の感想はこちらに。


 江波光則『ボーパルバニー』
 【15下期ラノベ投票/9784094515749】

 

 そして日本SF界といえばハヤカワ文庫JAから『我もまたアルカディアにあり』が刊行された江波氏を忘れてはならない。そして『我もまたアルカディアにあり』から返す刀で本作の様な素晴らしいB級映画臭溢れる作品をガガガ文庫に突っ込んで来る辺りがもう最高。

 ライトノベルでデビューした作家が他ジャンルに進出する事を『越境』と言ったりするけれど、江波氏には「一度越境したら元の場所には帰って来ない」のではなく、境界線なんて無視して好き勝手やってもらいたい。
 本作の感想はこちらに。


 押井守『ゾンビ日記 2 死の舞踏』
 【15下期ラノベ投票/9784758412711】

 

 B級映画といえば、ゾンビものは外せない。だからという訳ではないけれど、『ボーパルバニー』の次には本作を挙げておこう。
 前作『ゾンビ日記』がそうであった様に、正直、本作をそのまま映画化してもゾンビものとしては地味極まりなく、B級映画にしてもこれはちょっと、という内容だとは思うのだけれど、これが小説だと地味に味わい深いという面白い作品だと思う。

 個人的に、押井監督にはアニメ映画を作っていて欲しいのだけれど、小説家・押井守も割と好きではある。時に『PAX JAPONICA』のシリーズ、続きは出ないのだろうか。
 本作の感想はこちらに。


 三秋縋『君が電話をかけていた場所』『僕が電話をかけていた場所』
 【15下期ラノベ投票/9784048653923】
 【15下期ラノベ投票/9784048654425】

 

 この企画に参加する時は「1作家1作品」という自分ルールを作って臨んでいるのだけれど、本作に関しては切り離して評価する事が出来ないので、例外的に2作品に投票する事とした。

 三秋氏の描く登場人物達は、いつもどこか「上手く生きる事が出来ない躓き」の様なものを抱えている気がする。本作を読む時、恋愛小説として読むのが普通なのかなとも思うけれど、本作も含めて、自分はいつも三秋作品をそうした不器用な人間の群像劇として読んでいる節がある。

 恋愛も含めて、人間関係は難しい。すれ違いや、誤解や、失敗がいつも付いて回る。同様に、生きる事それ自体も難しい。大切なものがあって、皆それを手に入れたいとか、守りたいとか思いながらも、時にはそれが指の隙間からこぼれ落ちてしまったり、自分の手で台無しにしてしまったりする。その後悔や傷は誰の中にもあって、だから自分は三秋作品に共感出来るのかなとも思う。
 本作の感想はこちらに。


 河野裕『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』
 【15下期ラノベ投票/9784101800561】

 

 『伊藤計劃トリビュート』とは逆に、投票コード一覧の中に本作が無かったのだけれど、12月発売なのでここに入れても問題は無い筈。それとも年末発売だったので2016年上期に入るのだろうか。集計上問題あればスルーして下さい。

 さて、この企画でも毎回推している河野裕氏の『階段島シリーズ』。今期は角川文庫の『つれづれ、北野坂探偵舎シリーズ』からも『トロンプルイユの指先』が刊行されたのだけれど、先に書いた「1作家1作品ルール」に則って今回は本作に投票。感想はこれから書く予定。

 2016.1.23追記
 本作の感想を書きました。こちらです。


 森博嗣『彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?』
 【15下期ラノベ投票/9784062940030】

 

 河野裕氏の『階段島シリーズ』が刊行されている『新潮文庫nex』の流れを意識したのかどうかは知らないけれど、2015年下期といえば新レーベル『講談社タイガ』の立ち上げもあった。同レーベルの今後にも期待したい。

 10月、レーベル立ち上げと同時に刊行されたのが西尾維新氏や野崎まど氏、野村美月氏の新作だったりして、ライトノベル読みにも強くアピールする作家陣を揃えた印象があるのだけれど、その中から自分は本作を推す。
 本作の感想はこちらに。

 余談として、講談社タイガから刊行予定の作家陣の中に上遠野浩平氏の名前があったと記憶しているのだけれど、新作はいつ読めるのやら。まあいくらでも待つけれど。


 西尾維新『掟上今日子の遺言書』
 【15下期ラノベ投票/9784062197847】

 

 西尾維新氏の名前が出たところで、という訳ではないのだけれど、次は本作。
 相変わらず多作な方で、下期はこの『忘却探偵シリーズ』だけでも『挑戦状』『遺言書』『退職願』の3冊が刊行されるという、執筆速度でも最速を狙っているかの様な状態に。まあテレビドラマ化に合わせて、という事もあったとは思う。
 『退職願』も読み終えたのだけれど、今回は『備忘録』から久し振りに帰還した隠館厄介が出ているという事で『遺言書』に1票。
 本作の感想はこちらに。


 三上延『江ノ島西浦写真館』
 【15下期ラノベ投票/9784334910662】

 

 最後は三上延氏の『江ノ島西浦写真館』を。
 各所で「『ビブリア古書堂の事件手帖』の著者」と紹介される事にもいい加減辟易しているかもしれないとは思うけれど、そんな中で刊行された本作は穏やかな時間の流れの中で登場人物達がそれぞれの過去と向き合い、新たな一歩を踏み出していく作品となっていて、冒頭からとても引き込まれる。

 現実にもこの写真館の様に、『濁った足音を響かせる人間』を受け入れてくれる場所があれば良いのに。ふと、そんな事を思う。
 本作の感想はこちらに。

 以上、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2015年下期』への投票用エントリでした。
 毎度毎度の事ながらまとめるのが大変。まあ他の参加者の方々が「半期10作品に絞り込むのが大変」と言っている中、自分の場合は「半期10作品絞り出すのが大変」という全く逆方向の苦しみを味わっているのだけれど。自分も2016年は「絞り込むのが大変」と言ってみたい所。それではまた。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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