『好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年上期』に参加してみる。

 年2回、上期下期で開催される『好きなライトノベルを投票しよう!!』ですが、気付けば今年ももう上期が開催される時期で、半年があっという間だなという印象です。そして相変わらず数が読めていない上に滑り込み投票という。

 ライトノベルに関して言えば、もっと多読で更新頻度の高いブログを書いていらっしゃる方々が多いし、自分の読書傾向が偏っている部分もあるので、「これが上半期のベストですよ」というのではなく、「自分が読んだ範囲で印象に残ったのはこの作品」という程度の位置付けで毎回参加させて頂いております。


 上遠野浩平『無傷姫事件 injustice of innocent princess』
 【16上期ラノベ投票/9784062990646】

 

 毎度毎度の事ながら、1作目は上遠野浩平作品から。
 『事件シリーズ』もとい、『戦地調停士シリーズ』は、上遠野浩平作品の中では比較的未読の方にもお勧めし易いのではないかと思う。派生シリーズを含めた『ブギーポップシリーズ』の既刊の多さを考えると、今から上遠野作品を読み始める事を躊躇する方が多いのではないかと思うが、個人的にはどこから入っても上遠野作品の面白さ、興味深さが損なわれる事はないと思う。
 本作の感想はこちらに。


 長谷敏司『ストライクフォール』
 【16上期ラノベ投票/9784094516142】

 

 実はこの作品を読めていなかった為に投票がギリギリになってしまった。で、読んだ結果、ぜひとも1票を入れなければなるまいと思った次第。感想は後日書きます。
 長谷敏司氏といえば、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2015年下期』で自分が1票を入れた『伊藤計劃トリビュート』にも長篇原稿の第1章とされる『怠惰の大罪』が収録される等、勢いのある作家だと思う。そうした人がライトノベルを書いてくれる事は素直に嬉しい。
 ライトノベル作家の『越境』というと、ライトノベルでデビューした作家が一般文芸の世界に進出し、完全に活動の場を移してしまうというイメージがあるのだけれど、個人的には後述する冲方丁氏の様に、ジャンルの線引きを無視して縦横無尽に作品を発表して行ってもらいたい。

 ※7/18追記・『ストライクフォール』の感想を書きました。こちらです。


 冲方丁『マルドゥック・アノニマス 1』
 【16上期ラノベ投票/9784150312237】

 

 ライトノベルを主戦場としていた作家といえば、冲方丁氏を忘れてはならない。そして遂に刊行された『マルドゥック・アノニマス』は、シリーズの集大成と言える作品になると思う。
 『テスタメントシュピーゲル』の続きも期待して待ちたいところ。
 本作の感想はこちらに。


 水野昴『偽る神のスナイパー』
 【16上期ラノベ投票/9784094516043】

 

 実は、江波光則氏の『ボーパルバニー #2』と、どちらに1票入れるか悩んだ末、今回はこちらに1票入れる事にした。『ボーパルバニー』は前回推したし、同じ「ガガガ文庫枠」という訳ではないのだけれど、前出の『ストライクフォール』を加え、ガガガ文庫で3票埋めるのもどうかと思ったので。(とかなんとか言いつつ後で数えたら「ハヤカワ文庫JA」から3冊選んでいたという矛盾)
 8月に2巻目が刊行との事で、シリーズの今後に期待。
 本作の感想はこちらに。


 籘真千歳『θ 11番ホームの妖精 アクアリウムの人魚たち』
 【16上期ラノベ投票/9784150311803】

 

 そんな(どんなだ)ハヤカワ文庫JAからの2冊目には『θ 11番ホームの妖精』シリーズの2作目を。電撃文庫から本シリーズの1作目が刊行されたのが2008年との事で、それを考えると『スワロウテイル』シリーズを間に挟みつつ、2014年にハヤカワ文庫JAから本シリーズが再刊行された事は異例かもしれない。
 個人的に、ライトノベルというのは良くも悪くも『消費されて行く文学』だと思っている。次々と新作が発表されて行く中で、過去の作品は書店の店頭から姿を消して行くし、そのサイクルは早い。それでもなお本作の様に復活する作品もある。その事が読者としては嬉しい。
 本作の感想はこちらに。


 多崎礼『血と霧 1 常闇の王子』
 【16上期ラノベ投票/9784150312329】

 

 既に今月『血と霧 2 無名の英雄』が刊行される本作。血の価値によって定められた階級制度が支配する社会の中で、主人公のロイスが大人としての責任を背負いながら生きる姿が心を打つ。
 大人として生きるというのはどんな事なのか。本作はその事を読者に突き付けている。
 本作の感想はこちらに。


 竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』
 【16上期ラノベ投票/9784101800653】

 

 ヒーローとは何かという事を問う、竹宮ゆゆこ氏の意欲作。
 正しい事とは何で、間違った事とは何なのか。見渡せば間違いや矛盾だらけのこの世界の中で、正しさを求め、大切な人の幸せを願う事の困難を描いた本作は、イジメや虐待という陰湿なテーマを扱いながらも、清々しい読後感を持っていると思う。
 本作の感想はこちらに。


 縹けいか『食せよ我が心と異形は言う』
 【16上期ラノベ投票/9784042560074】

 

 今回から新たに加わったレーベル『NOVEL0(ノベルゼロ)』。
 最近ライトノベルが読めていないと言いつつ、気付けば同レーベルからは本作を含めて4作も読んでいた。レーベルによって狙っている読者層は異なるのだろうけれど、それが自分と上手くはまった結果だろうか。
 こちらも流石に4作品全てを推すのはやり過ぎかと思ったので、既読から2作品を選ぶ。
 まずは本作。個人的に復讐劇という奴が好きで、そんな自分の趣味もと合致した本作はとても面白かった。復讐される相手のゲスさ加減と、主人公サイドが突き落とされる悲劇の度合いが深い程、復讐劇は面白いと思っていて、そういう意味でも本作は申し分ない。
 本作の感想はこちらに。


 鳳乃一真『Slave†Money』
 【16上期ラノベ投票/9784042560098】

 

 『NOVEL0』からの2作目は本作。
 金の力で他人を従属させる権力者がいたとして、それに抗う為に体制を打倒しようとする物語は多い。ただ本作は、『金こそ全て』という体制に乗っかった上で、貧者が金を手にして権力者から自らの自由を買い戻そうと足掻く姿を描いている。
 「世の中金が全てではない」と唱える事は簡単かもしれないが、その道に逃げる事なく貧者が権力者に挑んで行く構図には考えさせられるものがある。
 本作の感想はこちらに。


 上遠野浩平『彼方に竜がいるならば』
 【16上期ラノベ投票/9784062990653】

 

 はい、今期は上遠野浩平作品が多かった事もあり、遂にやってしまった。「上遠野作品に始まり、上遠野作品に終わる」という暴挙。(苦笑)
 本来であれば、一人でも多くの作家さんをこの場でご紹介出来た方が、企画に参加する側としては良いと思うのだけれど、今期は『NOVEL0』等の新顔も結構入れられたので、この程度なら許されるのではないかと思いまして。

 さて、上で「上遠野浩平作品入門としては、事件シリーズもお勧め」みたいな事を書いておいて何なのだけれど、本作もまた入門編としてはお勧め出来る内容だと思う。特に収録作である『ドラゴンフライの空』は、上遠野作品の横の繋がりを意識しなくても楽しめる内容だと思うので、多くの人に読んでもらいたい。
 本作の感想はこちらに。


 以上、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年上期』への投票用エントリでした。
 個人的に、今回は結構数を読んでいた方かなと思う。相変わらずライトノベル業界は新レーベルの立ち上げが相次いでいて、今期も『NOVEL0』を始めとした様々な動きがあったのだけれど、それでライトノベル業界が盛り上がって行くならばよしとしたい。少なくとも作家からすれば発表の場が増える訳で、読者としてもそれは歓迎したいところ。
 下半期もまた面白い作品が読める事を願いつつ、今回はこの辺で。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

黒犬

Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
Twitter
リンク
RSSリンクの表示
Amazon