『好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年下期』に参加してみる。

 もう こんな 時期か。(積んである未読本から目を逸らしつつ)

 という訳で、今回も『好きなライトノベルを投票しよう!! 』に参加させて頂きます。先ずは恒例の言い訳からスタートしますが、自分は多読ではないし、読書傾向も偏っているので、対象期間内に刊行された作品を網羅しているとは言い難く、また2016年下期に関しては先に書いた様に「買ったはいいが、積んである」という作品が多い為、「アレもコレも選出されてないんだがどういう事?」という向きもあろうかと思います。余りにも抜け漏れが多い為、今回は投票を見送ろうかとも思ったのですが、枯れ木も山の賑わいという事で、「ライトノベルと一般文芸の境界線上に位置するであろう作品をねじ込む」スタイルで行こうと思います。何だ、いつもと一緒じゃん。


 上遠野浩平『パンゲアの零兆遊戯』
 【16下期ラノベ投票/9784396635121】

 

 毎度毎度の事ながら、1作目は上遠野浩平作品から。
自分は毎回上遠野作品を推すのだけれど、「もういい加減分かったから」と言われそうな気がしないでもない。ただ、何と言われようが「好きな作家を挙げよ」と言われて真っ先に思い浮かべるのが上遠野氏である以上、ここは譲れないのであった。
 本作の感想はこちらに。


 朝倉ユキト『ノーウェアマン』
 【16下期ラノベ投票/9784061399518】

 

 現代社会で自分達が一番欲しているものはきっと他者からの承認であり、自分の居場所なのではないかと思う。新海誠監督の映画『君の名は。』が記録的なヒットとなった背景も多分そこにあると自分は思っている。
 誰かに認められたい。必要とされたい。自分の存在を肯定して欲しい。そうした承認に対する飢餓感がこの社会にはある。きっとこの社会に、そして世界にとっては取るに足らないであろう自分の存在を誰かに記憶していて欲しいと願う事。その願いが切実なものとして響くのは、自分達が個人として尊重される事に飢えている、この世界の有り様を端的に示しているのではないかと思う。
 本作の感想はこちらに。


 河野裕『凶器は壊れた黒の叫び』
 【16下期ラノベ投票/9784101800806】

 

 記憶の物語であり、居場所の物語でもある作品として、やはり河野裕氏の『階段島シリーズ』を外す訳にはいかない。本作についての感想はまだ書けていなかったのだけれど、言葉の選び方の綺麗さというか、登場人物達の台詞のみならず、地の文までも磨かれた言葉によって構成される物語は、小説ならではの魅力に溢れていると思う。
 同じ河野作品である『サクラダリセット』の映像化にあたって、この原作の『言葉の魅力』がどこまで生かされるのかも注目。


 竹宮ゆゆこ『あしたはひとりにしてくれ』
 【16下期ラノベ投票/9784167907310】

 

 こうして2016年下期を振り返ってみると、自分は本当に『自分の居場所』や『承認欲求』に関する物語を追い掛けて来たのだなという事に気付く。本作もまた、そうした物語の系譜だと思う。
 人間が生きて行く為に必要なものは色々ある。当然、衣食住とそれを支える収入は必要だ。日本は豊かな国だと言われる。ある意味でそれはその通りだ。紛争地域の様に着るものも住む場所も、食べるものもなく飢えて死ぬという悲劇から遠ざかる事に、この国は成功したかもしれない。しかし今になって自分達は、『個人として尊重されること』という飢えに直面している。そんな気がする。
 本作の感想はこちらに。


 坊木椎哉『きみといたい、朽ち果てるまで ~絶望の街イタギリにて』
 【16下期ラノベ投票/9784041049051】

 

 自分達は親を選ぶ事は出来ない。生まれて来る時代や、国や、社会のあり方を選ぶ事も出来ない。そもそも生まれて来る事自体を自分達は望んでいたのだろうか。などと書くと厭世的に過ぎる気もするが。
 それでも生まれて来た以上は生きて行かなければならない。何処かへ歩き出さなければならない。本作で言えば主人公の少年がある意味で『もう一度生まれ直す』為の一歩を踏み出して行く様に、自分が置かれた状況と、社会と対峙して行かなければならない。それが困難で、長い道程であると知りつつも。
 本作の感想はこちらに。


 三秋縋『恋する寄生虫』
 【16下期ラノベ投票/9784048924115】

 

 他者との関係性の物語、互いの居場所を求める物語といえば、本作もまた忘れてはならない。世の中には生きる事に不器用な人間がいる。その中には自分も含まれている様に感じるのだけれど、そうした上手く世の中に馴染めない人間にも何らかの居場所は必要だ。そんな時、不器用にしか生きられない者同士が互いの居場所になる事で、お互いを救う様な希望があってもいい。
 本作の感想はこちらに。


 綾里けいし『魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき』
 【16下期ラノベ投票/9784042560173】

 

 ライトノベルの中でも、人間が持っている暗い感情を掘り起こしていく作風はなかなか異色である様に思う。
他人を支配したいとか、無条件の承認=愛を得る為に手段を選ばないとか、そうした人間の『欲』を、どろどろとした暗い感情のままで物語に仕立て上げるとこうなる、とでも言うかの様な。逆に、そうした人間の『欲』を、無邪気に、エンタメとして表出させると異世界転生ものになるのではと思う。こういう事を言うと怒られそうだけれど、主人公が自分の為に作られた世界に生まれ変わって活躍の場を得るというのはそういう事かなと。
 本作の感想はこちらに。


 吉田エン『世界の終わりの壁際で』
 【16下期ラノベ投票/9784150312541】

 

 作品の中に何らかの寓意を見る様な物語というものはあって、本作もまたその中のひとつである様に思う。
 世界を分断する壁の外側と内側。自分はそのどちら側に立っているのか。そんな自分の立ち位置を確認しながら読み進めるのもまた興味深い。
 本作の感想はこちらに。


 冲方丁『マルドゥック・アノニマス 2』
 【16下期ラノベ投票/9784150312459】

 

 最早何も言う事はないレベルでただただ続きを楽しみにしているのが本作。
 ウフコックの魂に救いがあって欲しいと願わずにはいられない。
 本作の感想はこちらに。


 柞刈湯葉『横浜駅SF』
 【16下期ラノベ投票/9784040721576】

 

 最早大御所の貫禄を漂わせる冲方丁氏の次には新人の今後に期待という事でこの柞刈湯葉氏の『横浜駅SF』を。まあ単純に自分が『BLAME!』的な世界観が好きなだけとも言うけれど。
 元ネタを独自の発想で膨らませる手法は二次創作的というか同人的なパロディの面白さではあるのだけれど、これがなかなかどうして馬鹿にしたものでもない。
 本作の感想はこちらに。


 以上、『好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年下期』への投票用エントリでした。
 とはいえ、まだ『テスタメントシュピーゲル3』も読めてないしどうしたもんだかという感じではあります。まあ本企画の主な投票対象一覧を見ても既に9割以上は読んでいない作品となっているので、何を今更という感じではありますが。もう新レーベルの乱立にはついて行けそうにありません。作家買いは別として。

 ライトノベル業界を支えるメインストリームの読者層と自分とはもう随分離れた場所にいる気がしていますが、雑食系本読みとしては相変わらずライトノベルと一般文芸の境界線辺りをうろつく様に読んで行こうと思っておりますので、お時間があればお付き合い下さい。それではまた。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 小説・文学

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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