好きになれない『世界に一つだけの花』

 深夜TVでサッカー日本代表の試合を見ていて思う所があったので書いてみる。いや、別にSMAPが嫌いだとかそういう話では無いんだけれど。むしろ『夜空ノムコウ』とかとても好きですし。
 では、なぜ『世界に一つだけの花』が駄目なの?というと、これもやっぱり自分の凡人目線のせいなのかもしれない。

 自分の親戚の子は、鹿島アントラーズが主催しているジュニアっていうの?の何かのチームに入っているらしい。上が中学生でその下にもう一人いるんだけど。で、出来るならサッカー留学もしたい!っていうくらい、サッカーってものに対して真剣なんだな。一家揃って。
 で、日本代表の試合なんかを見ていて思うのは、やっぱり上を目指して競争する事が社会の本質なんだっていう事と、それと平等っていう価値観はまた別なんだっていう事をもっと若い内から教育しておくべきなんだろうなという事。

 日本は頑張って『皆平等に権利がある』『皆が尊重されるべき』っていう教育をしてきて、それはある一定レベルでは成功したし価値もあったとは思う。でも、現実は競争社会でもあるんだっていう事を教える事にも本当は力を入れるべきで、『学芸会の演劇で主役が10人も20人もいる』みたいな事態はおかしいと思う。(このあたりの事は世界に一つだけの花の作詞・作曲をした槇原敬之氏も『競争自体を否定する歌ではない』と言っている様だけれど)

 そこで考えると、『世界に一つだけの花』はいい歌なんだけれど、それを歌っているのが日本でトップクラスのアイドルグループなんだっていう所に罠というか、違和感があるんじゃないかと思ってしまう。

 例えばいくら『ナンバーワンにならなくてもいい 元々特別なオンリーワン』とかいっても、現実にSMAPみたいになりたい、所謂『ワナビー』は沢山いるわけだ。そういう人達にとっては、この歌は酷なんじゃないかと思えてしまう。自分が大学生時代に東京に住んでいて、ミュージシャンや役者等、色々なワナビーを見て来たから余計に。

 だってそれってサッカーの日本代表選手が『代表選手になれなくたって、君達一人一人はオンリーワンなんだ』って言うくらいのもんでしょう?そんな事を言われても『いや、自分達は代表選手になりたくて今必死に努力してるんですけど』としか言えない。
 同様にメジャーリーガーのイチローや松井、松坂が『メジャーリーガーになれなくても、甲子園に行けなくても、草野球の選手でも、それは立派な野球だし野球選手だ』って言ったとして、それで納得できる野球少年っているんだろうか。

 世界に一つだけの花は、凡人の為の歌だと思うし、思いたい。でも、実際にそれを凡人が作詞・作曲出来たとして、例えば街頭で路上ライブみたいな形で歌ったとしても、そんなものは誰の耳にも届かないで終わるだろう。あれはSMAPが歌ったからこそヒットしたし皆の耳に届いた。そう考えると、これは実は凡人の為の歌なんじゃなく、『戦った結果特別になれずに負けてしまった凡人を慰める為の歌』なのか、とも思えてしまう。

 サッカーなら、本当は皆日本代表に選ばれる位の選手になりたいと思っている。でも代表選手の枠はそんなにはない。その上ピッチに立てる選手は11人しかいない。同様に皆がSMAPにはなれない。アイドルグループやスポーツ選手みたいに、実際の社会生活に必要なものを生産したり流通させたりしない業種の人間ばかりが何万人といたら社会生活が営めない。実際には誰もやりたがらない様な地味仕事を引き受ける95パーセントの凡人が社会を回しているのだから。(それでも自分の仕事に誇りを持て、という精神論はあるとしても)

 だから、凡人を標榜する自分はこの歌が好きになれずにいるし、ずっと違和感として残り続けている。それともいつかは、このわだかまりが消える時が来るんだろうか。

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Author:黒犬
映画と小説を主食に生きている。
地方の片隅で今日も黙々生息中。

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