貫き通す正義はあるか

 ブログの更新サボり過ぎだろ自分。

 さて、『テイルズ オブ ヴェスペリア』を買ってぼちぼちプレイしているんだけれど、この手のRPGにおける『FF』以降の定番というか王道パターンというのがあって、不思議な事にメーカーが違っても皆律儀にその流れを外さない。それは何かというと、序盤はフィールドマップを徒歩で移動する事しか出来ないが、序盤が終わる頃には船等の範囲限定的な移動手段が手に入り、中盤を過ぎた辺りで飛空挺等が登場して一気に行動半径が広がるというもの。
 自分は国産RPGが好きでそれこそ結構な数やったのだけれど、フィールドマップ方式のRPGの大半はこれだから、乗り物が出て来るタイミングでゲームの進行具合が大体わかる様になっている。ここまで来るとパクリどうこうっていうよりはもう様式美というか、ジャンプで売れるバトル漫画の構造が皆同じなのと一緒で、そこを外すと作品が成り立たないとか、売れないくらいのレベルなんだろう。となると、後はその基本構造以外の部分、ストーリーとかキャラクター性とか戦闘システム等で個性を主張する以外無い。

 テイルズシリーズの個性というとまずは戦闘システムとスキットがあるんだろうけれど、それ以外に毎回テーマというか、サブタイトル的に『○○のRPG』といったキャッチコピーが付加されているという事がある。ヴェスペリアの場合は『「正義」を貫き通すRPG』だそうだ。
 ただこの正義っていう奴は取り扱いが難しい。単純に『その正義は誰にとっての正義なんだ』という事もあるし、それを貫こうとするならば、どうやって?という方法も問われる事になる。(以下にはヴェスペリアの若干のネタバレを含むので注意)





 ヴェスペリアではそのものズバリ『コイツはとんでもない悪事を働いていて、生かしておくと皆の為にならないからここで暗殺しておくべきなんじゃないか』という展開がある。ファンタジーとはいえ、そこには法があるのだから本来ならば生かして逮捕し、司法の裁きを受けさせるのが妥当だ。ただ、相手が政治的な有力者であったり、強力な後ろ盾を持っていたりすると、実際には罪に問われなかったり減刑されたりで、またそいつが世に出て同じ罪を繰り返す可能性がある。ならばいっそここで誅殺した方が世の為になるという訳だ。

 結構過激なテーマだなと思う。
 当然RPGの敵役なんてものは極端な悪役が多いので、弱い立場の人間を強制連行して魔物の餌にする位の事は平気でやるし、貴族だ平民だ、或いは種族の違いだとかで極端な選民思想を展開する奴もいる。正直生かしておいても害になるだけなのは明らかで、プレイヤーはそこで相手を倒してしまっても良心の呵責を感じなくて済む様な作りになっている。またRPGだと相手も武器を持って抵抗して来たりする為、戦闘で倒してしまう事については、お互いに命のやりとりをしているんだから殺される事もあればその逆もあるという風に納得できるわけで、余計罪悪感は軽減される。

 しかしヴェスペリアの場合、相手は悪人ではあるけれど、戦闘能力も無い丸腰の人間で、それを生かすか殺すかという場面がある。こうなると先に挙げた『命のやり取りはお互い様だろ』という理屈も通用しない。戦闘の上で倒してしまうという一般的なRPGのパターンからあえて逸脱させるという事は、そこにこのシナリオを作った人達の意図があるのだろう。つまり問題提起をしているわけだ。
 もっとも、プレイヤーに選択権は無く、実際にはイベントでそのシーンは進んでしまうのだけれど、その時の主人公の選択が果たして正義を貫くという意味で正しい行いなのかどうかは意見が分かれる事だろう。

 さて、それが正義であるかどうかはともかくとして、こういう『必殺仕事人』的な、法で裁けぬ悪を討つ類の話は、現実にそれが行われるのなら問題だけれど実は皆大好きで、自分でやれるものならやってみたい事なんじゃないだろうか。現実には出来ない事を虚構の中でキャラクターがやってくれる。自分はそれを客観的に眺めながらも、主人公達に感情移入する事で物語を消費する事が出来る。それは気持ちいい事には間違いないのだけれど、それに酔ってしまっていいのかというと、その行為は危うい。

 一方では法を守った上での正義があり、またその限界がある。ならば法が守る事の出来ない正義の為と言って自らも法を破る事は許されるべきなのかどうか。このテーマが本作では繰り返し語られるけれど、結果として法といえども人間が作ったものである以上必ず不備はある訳で、その中で生きようとするならば法の理念と現実のギャップをどう受け止めて行くか、何に従って生きて行くべきかを個人が見定めて行かなければならない。
 国家が定めた法、自らに課す掟、仲間と共有する誓いや約束、或いは道義や良心。それらの中で何が優先されるべきか。貫くべき正義とは何か。それを考えろという事が、多分本作のテーマだ。最後までプレイしていないので、製作者がどんな回答を用意しているのかはまだわからないけれど。

 正義を貫くのなら、まず貫くべき正義を見定めなければならない。人が指し示した正義を鵜呑みにするとろくな事が無いという事は明らかなのだから。

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