弐瓶勉『シドニアの騎士』

 あの弐瓶勉氏が、何でまたここに来てロボットものを描くんだろうというのが読む前の第一印象だったのだけれど、読んでみると『ああ、確かに弐瓶作品だな』という部分もあって安心した。それでも今回はロボットものであると同時に学園ものの要素も取り入れられていて、いつもの弐瓶作品よりは若干読み易くなった感はある。

 太陽系を凶暴な異生物、奇居子(ガウナ)に滅ぼされた人類は種の存続の為、恒星間宇宙船シドニアでの航海を続けていた。シドニアの最下層で育った谷風長道は、襲来する奇居子からシドニアを守るべく配備された人型兵器、衛人(モリト)の操縦士に抜擢され、訓練生としての生活が始まる。

 奇居子等のキーワードは別シリーズの『ABARA』から引き継がれているものだけれど、ストーリーは完全に切り離されているので、シドニアの騎士単体でも全く問題なく読める。今まで弐瓶作品はとっつきにくくて読んでいないという人は本作から入るのも手かもしれない。
 ストーリーはこの手のSFならもう定番の部類。自分が読んだ事のある範囲だと、小説なら上遠野浩平の『ナイトウォッチ』シリーズにも近い。後は何か他にこれに似たロボットものプラス学園ものの漫画があったなと思ったら、杉崎ゆきるの『女神候補生』だった。いや、あれ読んでたんですよ自分。アニメの方は見た事無いけれどね。あっちはもう続きは出ないんだろうと思うけれど、それに弐瓶分を足したらシドニアの騎士になるんじゃないだろうかと思ったり。混ぜるな危険。

 タイトルには『騎士』という言葉が付いているけれど、作中のデザインはむしろ和風。訓練生達の正装が鉢巻とたすき掛けに見えるつくりだったり、シドニア艦長が能面の様なマスクを着けていたり、衛人同士の模擬戦が剣道の試合風だったりね。シドニア居住区の風景も、無駄に古風な蕎麦屋があったり、弐瓶氏お得意の巨大建築で、何階建てなんだっていう和風建築が出て来たりする。宇宙船というと、本来はこういう無駄にスペースを食う建築は御法度なんだろうけれど、そこはマクロス方式なのか、宇宙船の居住区として普通の町があるという感じ。どんだけでかいんだシドニア。

 これからどうなるかは不透明なシリーズだけれど、あの弐瓶氏の事だからこのまますんなりと学園ものとして進むかと言うと、そうは問屋が卸さないのではないかと思う。それにしてもまさか弐瓶作品で『女子更衣室を覗いてボコられる主人公』(実際は女子『光合成』室だが)とか『主人公が他の女性と一緒にいる所を見てやきもちを焼くキャラ』(といっても『性別は無い』けど)なんていう普通のラブコメみたいな展開が読める日が来ようとは。『ブラム学園』みたいなギャグ作品ならともかくね。これから先の展開に期待が持てそうだ。

 これは余談だけれど、弐瓶氏の公式サイトに出てる継衛の1/100プラモ、本当にどこか出さないですか?余裕で4機くらい買って『四騎掌位!』とかやりますけど。

 <関連項目>

 弐瓶勉 公式サイト【aposimz】

 

テーマ : 感想
ジャンル : アニメ・コミック

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